ふたたび映画「息子」の話に戻るとこの作品、松村禎三の音楽も素晴らしく良いんです。テーマとなる楽曲がとても不思議な響きで、音楽用語でいうモードを取り入れてるのでしょうか。マイナーとメジャーが交錯するような不安定感が逆にくすぐられます。
松村禎三という人は多くの映画音楽に携わってますが、特に熊井啓監督とよく組んでましたね。熊井啓は日本最後の社会派監督といわれるくらい、そのノンフィクションスタイルは終始一貫してました。特にデビュー作である「帝銀事件 死刑囚」は、今や歴史的冤罪として語られる帝銀事件に鋭く異見する傑作です。